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日外会誌. 126(1): 32-37, 2025


特集

少子化時代のこどもの外科医療のあり方

6.地方都市における小児呼吸器外科医療のあり方

金沢大学 呼吸器外科

松本 勲

内容要旨
本邦では少子化に伴い,小児外科領域の対象患者や外科修練機会の減少が進むことが予想され,大都市と地方都市の間の医師および患者の偏在,外科医を目指す若手医師の減少など,小児外科領域を取り巻く現状は課題が山積している.その中でも,地方都市における小児呼吸器外科医療の実際に焦点をあて,今後のあり方について考察した.
本邦では,小児呼吸器外科手術を行う小児外科医が不足しており,呼吸器外科医と小児外科医が協力して担当しているのが現状である.小児呼吸器外科手術は必ずしも減少しているわけではないが,地方都市の担当医師の経験する症例数は減少傾向にあると考えられる.小児呼吸器外科手術ではもともと高度な手術手技や麻酔技術を必要とするが,近年の胸腔鏡手術やロボット手術の導入とともに,さらなる難易度の高い技術を要求され,安全管理も含め若手医師の育成が難しくなっている.このような状況の中,小児呼吸器外科を担当する若手医師をどのようにリクルートし,育成するかは極めて重要な課題である.大都市のみに医師と患者を集約させることは現実的ではなく,地方都市において質の高い小児呼吸器外科手術を行える医師を育成する必要がある.このためには,呼吸器外科,小児外科,麻酔科が連動して都道府県を越えた一定の地域ブロックで専門病院を置く必要があると考えるが,国の行政と関連学会の連携が不可欠である.

キーワード
呼吸器外科, 小児外科, 外科修練, 胸腔鏡下手術(VATS)


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