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日外会誌. 125(4): 310-316, 2024


特集

肺癌外科診療up to date

3.原発性肺癌に対するReduced-port VATS

金沢大学 呼吸器外科

松本 勲

内容要旨
胸腔鏡下手術(VATS)は原発性肺癌にも広く適用されている.VATSの優位性は,胸郭破壊の軽減により呼吸機能を温存し,疼痛を軽減する低侵襲性にある.本稿では原発性肺癌に対する,さらなる低侵襲を目指したReduced-port VATSについて解説する.
肺癌に対するVATS肺葉切除は1990年代に入り開始され,当初は小開胸と複数のポートで行われた.その後,二窓法VATSやneedlescopic VATSなどの術式が開発された.現在では単孔式VATSが導入され,肺葉切除のみならず,区域切除,気管支形成,血管形成などの複雑な手術にも適用され,ロボット支援下VATSでも同様のReduced-portの潮流が及んでいる.単孔式VATSと多孔式VATSの比較研究において,低侵襲性,安全性では単孔式は多孔式に劣らず,疼痛軽減やQOL維持に期待が持てるとされている.ただし,単孔式VATSは高い技術を要するため,経験豊富な指導医の下で実践的なトレーニングを受けることが重要である.
非挿管下のReduced-port VATS,da Vinci® SP Systemを用いた単孔式RATS,Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgeryなどの新しい術式が開発される中,われわれは患者のための手術という目的を忘れず,たゆまぬ術式の改良を行っていく必要がある.

キーワード
原発性肺癌, Reduced-port, 胸腔鏡下手術(VATS), 単孔式VATS, ロボット手術


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