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日外会誌. 125(4): 303-309, 2024


特集

肺癌外科診療up to date

2.ロボット支援肺癌手術の進歩と将来展望

1) 松江赤十字病院 呼吸器外科
2) 鳥取大学 医学部呼吸器・乳腺内分泌外科学分野

中村 廣繁1) , 春木 朋広2) , 窪内 康晃2) , 松居 真司2) , 大野 貴志1)

内容要旨
本邦の肺癌に対するロボット支援下手術(以下,ロボット手術)は,近年急速に普及してきたが,その要因は2018年度の肺葉切除,2020年度の区域切除に対する保険収載が大きい.海外からは多数のシステマティックレビューやメタアナリシス,前向き無作為比較試験の結果が報告され,ロボット手術は開胸や胸腔鏡手術と比較して同等かそれ以上の成績が示された.その結果,2022年度,2023年度の肺癌診療ガイドラインで推奨グレード2Bとなり,ロボット手術は肺癌に対する低侵襲手術としての地位を確立した.特にロボット手術は,肺癌の手術において大切である血管・気管支の剥離操作,肺門・縦隔のリンパ節郭清などを高い精度で行うことが可能であり,進行癌や術前治療後の手術,区域切除など難易度の高い手術において,より多くの利点を認める.本邦ではいまだロボット手術の有用性を示すエビデンスは証明されていないが,新型手術支援ロボットの登場により,われわれが機種を選択する時代となってきた.今後はデジタルデータの活用やAIによる手術支援機能の開発など新たな展開に期待がかかる.

キーワード
呼吸器外科ロボット支援手術, 肺癌, 現状と課題, 将来展望, 新型手術支援ロボット


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