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日外会誌. 125(2): 155-159, 2024


会員のための企画

周術期疼痛管理の最新知見

自治医科大学附属病院 周術期センター・麻酔科

鈴木 昭広

内容要旨
術後疼痛管理は術後患者が合併症なく早期に機能回復して元の生活に戻るために重要な役割を持つ.タスクシフト・シェアの観点から,術後疼痛管理を麻酔科医・看護師・薬剤師・臨床工学技士などのチームで行うことが診療報酬に加わった.チーム医療推進の要は最前線となる患者~病棟看護師間で自律的に疼痛・副作用対策を行えるようなシステムづくりであり,チームの活動にあたっては外科医の協力が不可欠である.従来の「疼痛時指示」という後追い型の診療は患者が強い疼痛を自覚する時間を長くし,自律神経のアンバランスなど短期的な悪影響のみならず,遷延性術後痛など慢性的な変化につながりえる.そこで近年では多角的かつ定期的な疼痛管理が推奨され,患者調節性鎮痛や,アセトアミノフェン定時投与などが行われる.術前からの喫煙は周術期呼吸器合併症の観点だけではなく術後疼痛も増強するエビデンスが示され,周術期禁煙の重要性が増している.術後悪心嘔吐は疼痛に並び術後離床を妨げる要因となるため,術中からの予防と,術後の迅速な対応が必要であり,5HT3受容体拮抗薬やツボ刺激,アロマセラピーの利用など薬剤以外の対処も注目されている.

キーワード
術後疼痛管理チーム, 患者調節式鎮痛(Patient controlled analgesia: PCA), 多角的鎮痛, Around the clock投与, 術後悪心嘔吐(PONV)


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