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日外会誌. 124(4): 360-364, 2023


会員のための企画

女性外科医を増やすためには

大阪医科薬科大学 一般・消化器外科

河野 恵美子

内容要旨
医学生や研修医の外科志望者が減少しており,日本外科学会は2022年4月に「外科医希望者の伸び悩みについての再考」を発表した.減少をきたした理由の一つとして女性外科医の問題が含まれており,重要度かつ緊急度の高い課題として位置付けられている.女性外科医を増やす意義は,単に医療現場の深刻な労働力不足を補うだけではなく,男性中心型労働慣行や社会的価値観の変革につながり,「働き方改革」を行いながら外科に新たな視点や多様な価値観をもたらすことにある.
女子学生が外科選択を敬遠する主たる理由は,労働環境,男女差別,社会的・文化的障壁であり,女性外科医を増やすためには,これら負の因子を取り除いていくことが重要である.性別にかかわらず「全ての外科医が成功する機会を得るようにすること」が目標であり,鍵となるのは働き方改革,アンコンシャス・バイアスの解消,DEI(Diversity, Equity& Inclusion)の推進である.外科における多様性を浸透させるには意思決定権の場に女性を登用することが必要不可欠であり,学会理事の女性比率を30%に引き上げることを提案する.労働環境の整備や外科指導者層の意識改革が進むと,女性だけではなく男性の外科入局志望者も増加すると思われる.

キーワード
女性外科医, 男女共同参画, 働き方改革, アンコンシャス・バイアス, DEI(Diversity, Equity, Inclusion)


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