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日外会誌. 123(6): 546-552, 2022


特集

ロボット支援下手術の現況と展望

6. ロボット支援下手術の現状と展望 <肺・縦隔>

鳥取大学 医学部呼吸器・乳腺内分泌外科学分野

中村 廣繁 , 春木 朋広 , 窪内 康晃 , 城所 嘉輝 , 松居 真司 , 大野 貴司 , 大島 祐貴 , 宮本 竜弥

内容要旨
呼吸器外科におけるロボット支援下手術は,2018年の保険収載以降,急速に普及している.区域切除,進行癌,大きな浸潤型腫瘍などへの適応拡大も進む一方で,同じ低侵襲手術である胸腔鏡手術と比較していかなるメリットがあるかが模索されている.これまでの後方視的な大規模研究では周術期成績,根治性には有意差を認めていないが,操作性が良好で精緻な手術が可能であるロボット支援下手術は,複雑で高度な技術を必要とする呼吸器外科手術において魅力がある.さらに,肺癌に対するロボット支援下肺葉切除術における胸腔鏡手術との無作為化前向き比較試験も報告されてきた.その結果,胸腔鏡手術との非劣勢が証明された一方で,リンパ節郭清においては,郭清個数やアップステージング率で有用性も示されている.ロボット支援下手術はいまだ発展途上であり,高い将来性が期待されている.近年の機器開発の進歩は著しく,新たな手術支援ロボットの登場やAI技術を統合することにより,ロボット支援下手術はさらに理想の呼吸器外科手術に近づくだろう.一方でロボット支援下手術は,いまだ課題も多く,教育やトレーニングの重要性やリスクの高い呼吸器外科手術における安全管理にも注意が必要である.本稿では呼吸器外科のロボット支援下手術の現在地を考え,今後を展望する.

キーワード
ロボット支援下手術, 呼吸器外科, 現状と展望


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