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日外会誌. 123(6): 553-560, 2022


特集

ロボット支援下手術の現況と展望

7. ロボット支援下手術の現状と展望 <心臓>

ニューハート・ワタナベ国際病院 心臓血管外科

石川 紀彦 , 堀川 貴文 , 瀬口 龍太 , 宮城 基 , 小圷 徹 , 木内 竜太 , 富田 重之 , 大塚 俊哉 , 渡邊 剛

内容要旨
心臓領域は他の領域と異なり内視鏡手術の導入が遅れていたが,手術支援ロボットの登場により可能になったと言える.ロボット心臓手術は大きく冠動脈バイパスと心内手術に分けることができ,バイパス手術では内胸動脈をポートのみで採取することで,小切開によるバイパス手術や完全内視鏡下のバイパス手術を実現する.しかし,ロボット手術が真価を発揮するのは特に心内手術であり,僧帽弁形成術は最も適した術式と言える.ロボット支援下僧帽弁形成術は,完全内視鏡下に行うことでその利点を最大限に生かす事が出来,より短い時間で正確かつ複雑な弁形成が可能になる点では正中切開手術やMICSをはるかにしのぐ.われわれは四つのポートのみで心内手術を施行しており,Keyhole cardiac surgeryと定義してその発展に努めている.
また,ロボット心臓手術の安全な普及に向けて「ロボット心臓手術関連学会協議会」を設置し,施設・術者の認定や教育を行っている.2018年に胸腔鏡下弁形成術としてロボット手術が保険収載され,症例数は年々増加しており,協議会の役割は重要なものとなっている.
今後は保険収載の拡大,新規ロボットの出現などが期待されるが,特に心臓外科領域では胸壁の破壊を回避しより正確な手術を実現するものであり今後の発展が期待される.

キーワード
ロボット, 心臓, 僧帽弁形成術, 冠動脈バイパス術, da Vinci


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