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日外会誌. 120(4): 413-417, 2019


特集

膵手術・膵癌治療の進歩

4.局所進行切除不能膵癌に対する集学的治療とconversion surgery

関西医科大学 外科学講座

里井 壯平 , 山本 智久 , 山木 壮 , 小坂 久 , 廣岡 智 , 松井 陽一

内容要旨
近年局所進行切除不能膵癌に対し,集学的治療を行った後,奏功が得られた患者に対して切除(Conversion surgery:CS)を行う機会が少しずつ増加している.今までの報告においてその切除成績は,切除可能膵癌の治療成績と同等であり,集学的治療に奏効するも非切除のままであった患者群よりも生存期間や無増悪生存期間が良好であった.また,CS自体の合併症率や死亡率は従来の膵切除術と同等の成績であった.良質なエビデンスはないものの,現時点で局所進行切除不能膵癌に対して集学的治療に奏効した患者で耐術可能な場合は,CSは試みられるべき治療法の一つと考えられる.集学的治療のレジメン,至適治療期間,治療効果の判定方法,手術適応,術後補助治療など,今後質の高い臨床研究によるエビデンスの蓄積のために継続的な取り組みが求められる.

キーワード
局所進行膵癌, 切除不能膵癌, conversion surgery, 集学的治療


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