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日外会誌. 120(2): 172-176, 2019


特集

血管浸潤を伴う肝胆道癌の外科治療の現況

4.門脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌に対する治療

兵庫医科大学 肝・胆・膵外科

波多野 悦朗

内容要旨
門脈腫瘍栓は肝細胞癌の最も予後不良な病態で,無治療での予後は3~5カ月とされている.海外のガイドラインでは分子標的治療薬のみが有効な治療とされているが,本邦の肝癌診療ガイドライン2017年版では,塞栓療法,肝切除,肝動注化学療法または分子標的治療が推奨されている.一方,単施設および全国22施設の検討で,門脈一次分枝および本幹にいたる腫瘍栓を伴う肝細胞癌において,肉眼的治癒切除が安全に施行され,さらに術後早期より肝動注化学療法が施行できれば予後(生存期間中央値28~33カ月)は改善することが明らかになった.今後,lenvatinibをはじめとする新たな治療薬の登場により,手術プラス薬物療法による集学的治療アプローチが期待される.

キーワード
肝細胞癌, 門脈腫瘍栓, 分子標的治療薬, 肝動脈注入化学療法, 集学的治療


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