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日外会誌. 120(2): 165-171, 2019
特集
血管浸潤を伴う肝胆道癌の外科治療の現況
3.大腸癌肝転移における主肝静脈・下大静脈浸潤例に対する外科治療
内容要旨昨今の実質温存肝切除の良好な短期成績と相俟って,多発肝転移に対しても小範囲肝切除が積極的に応用されるようになり肝内主要脈管の切除・再建の重要性が高まりつつある.また肝静脈根部や肝部下大静脈など肝周囲の主要脈管浸潤を伴うような局在不良転移まで切除適応を拡げる場合,同様に脈管合併切除・再建が必須の手技となる.手技の安全性が懸念されるEx vivo手術を除いては,VV bypass併用あるいは非併用での主要脈管切除や,生体グラフトあるいは人工血管グラフトを使用しての再建や端々吻合再建など複数の手技がすでに確立しており,手技自体の安全性は担保されている.自験例で主肝静脈あるいは下大静脈浸潤に対して脈管切除・再建を伴う切除を施行した症例と通常肝切除例を比較した場合,より進行例が脈管切除・再建例に含まれており長期予後は切除・再建例で不良であったが背景をマッチングさせた上での比較では両者の長期予後に差は認められなかった.したがって,主肝静脈・下大静脈浸潤に対する脈管合併切除は,大腸癌肝転移の切除適応を多発あるいは局在不良転移にまで拡大可能であり,さらなる長期成績の改善を目指すために必須な手技と考えられた.
キーワード
大腸癌肝転移, 肝切除, 肝静脈切除, 下大静脈切除
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