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日外会誌. 119(2): 186-192, 2018


特集

外科診療における遺伝学的検査の意義

8.小児外科領域

1) 近畿大学大学院総合理工学研究科 理学専攻遺伝医学
2) 近畿大学医学部附属病院 遺伝子診療部

田村 和朗1) , 木戸 滋子2)

内容要旨
小児期に発症する腫瘍の中に,家族性腫瘍のカテゴリーに合致する疾患がある一定の割合で存在する.Li-Fraumeni症候群(以下,LFS,#151623)はTP53遺伝子の生殖細胞系列変異によって引き起こされる常染色体優性遺伝形式を特徴とする家族性腫瘍の一つである.小児副腎皮質がんや脈絡叢乳頭腫瘍の発症者,長じては乳がんや消化器がん患者の中に見られ,多種多様な腫瘍の易罹患性を有していることが知られている.その対策としては早期診断・早期治療により,適切な医療介入が望まれる.遺伝学的検査は正確な病態把握とともにサーベイランスを実施するための基盤となる.対象となる臓器の多様性に対応し,持続的に実行できるサーベイランス・プログラムが検討されている.
LFSは家族性腫瘍の典型的な疾患であるが,頻度が低く十分に認知されておらず,見逃されている可能性もある.がん診療において,視野に入れておくべき疾患と考える.

キーワード
Li-Fraumeni症候群, TP53遺伝子, 遺伝学的検査, サーベイランス, 家族性腫瘍


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