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日外会誌. 118(6): 616-621, 2017


特集

分子標的療法は外科治療をどう変えるか

3.肺癌

1) 近畿大学医学部 外科学講座呼吸器外科部門
2) コロラド大学 アンシュッツ医学キャンパス

須田 健一1)2) , 光冨 徹哉1)

内容要旨
2002年9月のゲフィチニブの承認を皮切りに,本邦でも数多くの非小細胞肺癌に対する分子標的治療薬が臨床応用されてきた.現在では,進行・再発期の非小細胞肺癌の治療において,分子標的治療薬はもはや必要不可欠な薬剤となっている.これらの分子標的治療薬を,術前または術後補助療法に応用する試みは自然な流れであり,現在も多くの臨床試験が進行・計画中である.
一方,進行期の非小細胞肺癌の治療では,分子標的治療薬を用いた薬物療法の前後でしばしば生検が行われ,生検結果に基づいた治療薬の選択が行われることも多い.これらの生検はCTガイド下や気管支鏡下に行われることが多いが,腫瘍の部位によっては外科的生検が考慮されることもある.また,進行期の非小細胞肺癌の治療に分子標的治療薬が広く用いられるようになって以降,oligo-progressionと呼ばれる局所のみの病勢増悪が,殺細胞性抗癌剤のみの時代と比較してより一般的に知られるようになった.これらのoligo-progressionに対して外科治療や放射線治療などの局所療法を行うことで,分子標的治療薬によるさらなる長期の病勢コントロールが可能となることも報告されている.
分子標的治療薬の発展に伴い,肺癌診療における外科治療の重要性,外科医の役割はますます大きくなっている.

キーワード
個別化治療, 周術期補助療法, 外科的生検, バイオマーカー, サルベージ手術


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