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日外会誌. 118(2): 187-194, 2017


会員のための企画

手術部位感染および病的瘢痕予防のための閉創手技の理論と実践―SSI・肥厚性瘢痕・ケロイドを予防する切開・縫合法―

日本医科大学 形成外科

小川 令

内容要旨
外科手術後の創部合併症に,手術部位感染(surgical site infection:SSI)や肥厚性瘢痕(hypertrophic scars:HSs)・ケロイド(keloid)などの病的瘢痕がある.これらの発症には体質や局所因子が関与し,術中・術後の工夫が大切である.瘢痕予防の観点からは,頸部では横切開,胸部では正中切開,乳房では乳房外側縁に沿った切開,腹部では横切開を行うと良い.縫合では真皮に過剰な張力がかからないように,腹直筋前鞘や浅筋膜の層で,結節保持力・抗張力に優れている吸収糸を用い,皮膚縫合の前に創縁が自然に密着する状態を作る.術後は,できるだけ長期間,創のテーピング固定,腹帯やコルセットによる腹部の安静・固定を心がける.SSIを発症した場合は原因部位の特定,速やかな切開・排膿が大切である.また術後少しでも病的瘢痕を認め始めたら,すぐに副腎皮質ホルモンテープ剤を使用することで,肥厚性瘢痕・ケロイドは予防・治療できる.

キーワード
創傷治癒, 手術部位感染, 肥厚性瘢痕, ケロイド, 瘢痕


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