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日外会誌. 117(6): 491-496, 2016


特集

乳癌診療の現況からみた将来

3.乳房切除術と乳房温存術

東京都済生会中央病院 乳腺外科

佐藤 隆宣

内容要旨
現在,乳癌の外科的治療で主に行われている術式は,乳房切除術と乳房温存手術とである.
検診の受診者数の増加に伴い,2cm以下の乳癌の発見率が上昇したことや術前化学療法が普及したことで,乳房温存手術の適応が増加したが,一方乳房切除術は大きく減少した.
しかし,腫瘍径が非常に大きく温存不可能な症例や術前化学療法に全く反応しない症例,広範な乳管内進展が疑われる非浸潤癌症例や温存術後の断端陽性症例,温存術後の局所再発症例などには,乳房切除術が行われている.最近では,整容性に対しての患者の期待が高まっており,人工乳房(インプラント)による乳房再建が保険適用となったことも追い風となり,形成外科との連携で,乳房の形状を保ちたいという希望がある場合には,乳房切除と同時に乳房の再建が行われるようになってきている.乳房温存手術においても,切除部位の欠損部を上手に充填し整容性を向上させるOncoplastic Surgery(OPS)の手技が普及してきている.手術後の乳房の整容性を保つということは,患者の精神的・身体的ケアにとって重要なことである.

キーワード
乳房切除術, 乳房温存療法, 整容性


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