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日外会誌. 117(3): 194-198, 2016


特集

高齢者における外科治療の低侵襲化と至適管理

6.人工膵臓による周術期血糖管理

高知大学医学部 外科学講座外科1

並川 努 , 宗景 匡哉 , 北川 博之 , 宗景 絵里 , 花﨑 和弘

内容要旨
周術期には手術侵襲に伴うストレス誘導性高血糖を生じ,さらに高血糖は好中球の機能低下をもたらし,術後感染症の誘発危険因子となり,生体にとって不利益な糖毒性をきたす.免疫能の低下した高齢者において,高血糖対策を行うことで感染症の軽減が可能となり,栄養管理と両立することで治療成績の向上につながる.人工膵臓はインスリン分泌の内分泌作用に関わる人工臓器であり,糖尿病,耐糖能異常に関連した病態のみならず,周術期における外科的糖尿病の病態においても血糖変動の少ない厳密で安定した血糖管理を可能とし手術により誘発される糖毒性を回避できる.さらには,厳密な血糖管理における低血糖の危険を回避し,血糖管理に関する労働力軽減にも貢献でき,今後の幅広い診療分野での普及が期待される.

キーワード
人工膵臓, 血糖管理, 高齢者, 外科感染症, 周術期管理


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