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日外会誌. 117(3): 187-193, 2016


特集

高齢者における外科治療の低侵襲化と至適管理

5.高齢者肺癌に対する外科治療の現状と将来

聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科

佐治 久 , 酒井 寛貴 , 木村 祐之 , 宮澤 知行 , 多賀谷 理恵 , 丸島 秀樹 , 栗本 典昭 , 中村 治彦

内容要旨
最新の2013年日本胸部外科学会学術調査年次報告によると,本邦では年間37,370例の原発性肺癌に対して手術が行われ,年齢別では52%が70歳以上,さらに12%は80歳を超える超高齢者に対して手術が行われ,この傾向は年々増加の一途をたどっている.
80歳以上の早期肺癌集計で最も大規模な肺癌登録合同委員会の報告によると手術関連死亡はそれ以外と比べ遜色ないが,長期予後における他病死割合は30%と明らかに多い.低い周術期死亡率にもかかわらず,長期には高い他病死割合があるという乖離を考えると,現在の外科治療の選択が十分ではなく,そもそも80歳以上の高齢者肺癌に対する外科治療選択におけるリスク評価方法が不十分であることが考えられる.
このクリニカルクエッションに答えるべく,現在,日本呼吸器外科学会学術委員会企画として高齢者肺癌の外科治療戦略「高齢者肺癌に対する外科治療の安全性と有効性を評価するための多施設共同前向き調査研究」を行っており,その結果が期待される.

キーワード
高齢者肺癌, 低侵襲外科手術, 周術期死亡率, 指摘管理


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