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日外会誌. 116(6): 366-369, 2015


特集

ノンコーディングRNAの外科領域における意義

4.肝癌における意義

大阪大学大学院 消化器外科学

江口 英利 , 土岐 祐一郎 , 森 正樹

I.内容要旨
タンパク質へ翻訳されないRNAであるノンコーディングRNA(ncRNA)のうち,20ヌクレオチド程度のマイクロRNA(miRNA)は,標的となるメッセンジャーRNA(mRNA)からのタンパク発現を負に制御することによって多彩な生命機能を有しており,肝癌においても,発癌に関わるとされるmiRNAや悪性度に関わるとされるmiRNAなど様々なものが報告されている.miRNAは血液中やホルマリン保存組織中でも比較的安定なため,新規の腫瘍マーカーとしても期待されている.一方で治療対象としてのmiRNAも精力的に研究されており,肝癌の領域においてもmiR-34を用いた臨床第I相試験が現在進行中である.これらmiRNAに対して長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA,一般的には200塩基以上)はその機能解析が始まったばかりであるが,発癌や癌の性格の決定にも深く関わることが明らかであるため,癌の診断や治療の対象として今後の研究の成果が期待される.

キーワード
ノンコーディングRNA, マイクロRNA, 腫瘍マーカー, 核酸医薬


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