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日外会誌. 114(6): 308-311, 2013


特集

NOTESの現状と今後の展望

4.経腟経路による虫垂切除術

1) 慶應義塾大学 外科
2) 東京医科歯科大学 肝胆膵·総合外科
3) 慶應義塾大学 産婦人科

和田 則仁1) , 田邉 稔2) , 片岡 史夫3) , 北川 雄光1)

I.内容要旨
経管腔的内視鏡手術(NOTES)は自然孔から経管腔的に体腔内に到達し体表面を切開せずに行う手術である.現在日常臨床として実施可能なNOTESでは経腟アプローチがもっとも有用とされる.我々はNOTES研究会の臨床研究評価と当院の倫理委員会の承認を得て経腟ハイブリッドNOTES虫垂切除術を行った.臍部に5mmのポートを留置し腹腔鏡を挿入した.2.3mmの臍部ポートの鉗子で虫垂を把持しながら,12mmの経腟ポートより腹腔鏡用手術器具を用いて虫垂の切除·摘出を行った.術後合併症はなく,硬膜外麻酔や鎮痛剤の内服を要しないほど術後疼痛は軽度であった.創の整容性は一般的な単孔式内視鏡手術よりも良好であった.使用した器具は薬事承認された内視鏡外科手術用のもののみであった.虫垂切除では術者が臍部ポートと経腟ポートの両方を使用することでtriangulationが得られ,12mmのポートから様々なデバイスを利用できるため手技的難易度は高くない.しかしながら他の多くの術式への一般化や,男性にも実施可能な経胃NOTESを目指す上では,軟性内視鏡と軟性手術器具を中心とした医療機器開発が避けられないと考えられる.

キーワード
ハイブリッドNOTES, 経腟, 虫垂切除, 内視鏡, 医療機器開発


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