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日外会誌. 114(6): 303-307, 2013


特集

NOTESの現状と今後の展望

3.経腟経路による胃切除術

1) 大阪大学 消化器外科
2) 大阪大学 次世代内視鏡治療学

中島 清一1)2) , 高橋 剛1) , 山崎 誠1) , 黒川 幸典1) , 宮崎 安弘1) , 宮田 博志1) , 瀧口 修司1) , 森 正樹1) , 土岐 祐一郎1)

I.内容要旨
経腟経路は,直視下にアクセス可能で,感染制御も容易であり,大きい標本の摘出も可能なこと等から,最も安全かつ現実的なNOTESアプローチと考えられてきた.我々は,経腟NOTESの臨床導入を試みるにあたり,局所の授動と切除·縫合で術操作が完結する「胃局所切除術」に照準を絞って検討を開始した.前臨床段階から様々な課題に直面したが,経皮経路補助の採用と,適切な手術機器の選択,さらにはいくつかの手技上の工夫によりその臨床導入に成功,以来10例を経験するに至った.いずれも経皮経路補助という条件つきながら,腫瘍学的に忍容される手術を安全に施行でき,良好な整容効果と術後疼痛の軽減効果を確認できた.
こんにち,NOTESは臨床的に受容されたとは言い難く,その真の普及に向けて課題は多い.しかしながら,経腟NOTESの忍容性を確認できたことは,我々外科医が腹壁破壊の正当性,腹腔内臓器への到達法を再考する上で極めて意義深いものであったと考えられる.

キーワード
経管腔的内視鏡手術, NOTES, 経腟アプローチ, 胃局所切除術, 胃粘膜下腫瘍


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