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日外会誌. 114(1): 17-21, 2013


特集

癌のリンパ節微小転移―外科治療からみた臨床意義―

5.大腸癌の微小リンパ節転移

大阪大学 外科学講座消化器外科学教室

山本 浩文 , 土岐 祐一郎 , 森 正樹

I.内容要旨
大腸癌の微小リンパ節転移は古くからの課題である.HEレベルで見つからないものは無視してよいのか,それともすでに転移を起こし始めているのだから再発の芽になるのか.これまでに多くの研究がなされ,主にサイトケラチンの免疫染色の手法を用いた場合,臨床的な意義は余りなく,RT-PCRなどを用いた場合は報告は多くないものの予後と関連するとの見解もある.現在Stage II大腸癌の危険因子として穿孔例,他臓器浸潤例,リンパ節検索不十分例などいくつかの因子が提唱されているが,O'Connor等の報告では,Medicareに登録されている24,847例のStage II大腸癌症例の75%がハイリスク因子のいずれかを有しており,実際に術後薬物療法を受けているStage II症例は全体の20%程度であった.術後薬物療法の効果を5年生存率で評価すると,Stage II症例に対してはハイリスク因子の有無に関わらず,統計学的な有意差はみられていない.一方,Weitzらが2012年に発表したメタアナリシスでは,検出方法に関わらず微小転移はN0大腸癌の予後不良因子であると結論づけられている.今後は,プロスペクティブにOSNA法など簡便な検査法による多数例の解析が必要と思われる.

キーワード
微小転移, Stage II大腸癌, メタアナリシス, RT-PCR, OSNA法


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