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日外会誌. 113(5): 458-462, 2012


会員のための企画

肺がんを疑う末梢孤立性病変への対応

画像診断の立場から見た手術適応

国立がん研究センター中央病院 放射線診断科

楠本 昌彦

I.内容要旨
胸部X線写真や胸部CTで肺末梢に結節がみとめられると,肺癌などの悪性腫瘍かどうかの診断が臨床上問題となる.気管支鏡下生検や経皮的針生検で悪性腫瘍の診断が困難な小病変の場合には高分解能CTでの診断が重要で,肺の小病変に対しては連続的な高分解能CTを作成して読影する.その上で結節をすりガラス陰影を有しない境界明瞭な結節と,結節全体あるいはその辺縁部にすりガラス陰影がみられる場合に分けて考えるのが診断への第一歩である.その上で開胸生検を行うべきか,適切な間隔で経過観察を行うかの判断材料とする.その際,喫煙歴がマネージメント上のひとつの因子になる.辺縁部に境界鮮明なすりガラス陰影がみられる場合は,肺胞上皮置換型の進展部分を有する腺癌であることが多く,診断に大きく寄与する.また高分解能CTの所見を用いた術式選択への臨床試験も進行中である.
小さくても肺癌が疑われる病変に対しては開胸生検を考慮する一方で,病変が非常に小さい場合や肺癌の可能性が低いときは,まず適切な間隔の経過観察が望まれ,不必要な侵襲的な検査や過多な経過観察のCTを避けるべきである.

キーワード
肺がん, 肺結節, 診断, X線CT


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