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日外会誌. 113(5): 435-440, 2012


特集

外科領域における再生医療の応用

5.細胞シートを用いた組織再生

1) 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所(TWIns)
2) 東京女子医科大学 消化器外科

金井 信雄1)2) , 大和 雅之1) , 大木 岳志1)2) , 山本 雅一2) , 岡野 光夫1)

I.内容要旨
従来の薬物治療や外科治療では根治できない疾患に対して,再生医療的な治療法が世界的に注目され,各組織·臓器に対する新治療の早期開発競争が世界的に始まっている.当研究所では1990年代よりシート状の細胞“細胞シート”を単層あるいは積層化して組織を作製し移植するという独自の概念(Cell Sheet Engineering)を提唱し,研究開発を進めてきた.この細胞シートを用いた再生医療的治療として2003年から口腔粘膜細胞シートによる角膜上皮再生,2006年から筋芽細胞シートによる重症心不全治療,2008年から口腔粘膜細胞シートによる食道癌内視鏡治療後の食道上皮再生,2011年から歯根膜細胞シートによる歯周病の再生医療の臨床研究が行われ,さらに他の組織·臓器においても臨床研究の準備が進められている.同時に細胞シート技術を基盤とした産学連携により,大量の患者を治療するための細胞シートの量産化·組織ファクトリーの実現を目指した技術開発が進められている.

キーワード
細胞シート工学, 組織工学, 温度応答性表面, 再生医療, 医工·産学連携


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