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日外会誌. 113(3): 278-282, 2012
特集
日本の心臓·大血管外科レベルは欧米を超えているか?
3.弁膜症
I.内容要旨
日本における弁膜症外科手術数はリウマチ性弁膜症の減少に伴い減少するかと思われたが,この10年を振り返ると明らかに増加傾向を示している.加齢による大動脈弁狭窄症,変性僧帽弁疾患の増加が要因である.今回,日本胸部外科学会主導の全国集計調査,日本心臓血管外科データベース機構データと米国胸部外科学会STS databaseをもとに外科治療成績を比較した.日本,欧米,双方において大動脈弁置換術の成績は安定して良好で手術死亡率はこの10年2.7%から3.7%の間で推移し,優劣は見られない.生体弁の選択率が2004∼5年頃より機械弁を双方で上まっている.僧帽弁治療においては弁置換術において手術死亡率4.7∼6%程度で増減しながら両国とも推移している.2005年より弁形成の数が置換症例を上回り,同程度の普及率を示す中で,手術死亡率は1.2∼1.8%の範囲で推移し,弁置換術と同様に双方に差はない.手術成績に関しては欧米に勝るという結論は難しいが明らかに欧米並みの成績が得られている.
キーワード
弁膜症, 大動脈弁置換術, 僧帽弁置換術, 僧帽弁形成術
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