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日外会誌. 112(3): 159-163, 2011


特集

膵癌診療の現況と課題

2.浸潤性膵管癌に対するIPDA先行処理膵頭十二指腸切除術

藤田保健衛生大学 胆膵外科

堀口 明彦 , 石原 慎 , 伊東 昌広 , 浅野 之夫 , 山元 俊行 , 宮川 秀一

I.内容要旨
膵癌に対する理想的な術式は根治切除を可及的に低侵襲に行い,速やかに術後補助化学療法へ移行できるような術式である.膵頭部の流入動脈を手術の後半に処理すると膵頭十二指腸の静脈鬱血がおこり,静脈性出血をきたし術中出血量の増加させる.流入動脈である下膵十二指腸動脈(IPDA:inferior pancreatic duodenal artery)を手術の前半に結紮することにより,鬱血による出血を防ぐことができる.また,IPDA先行処理は上腸間膜動脈周囲神経叢やNO.14リンパ節を確実に郭清するために有用な方法である.教室では2005年からIPDA先行処理膵頭十二指腸切除術をおこなっており,それ以前の標準的膵頭十二指腸切除術と比較すると,R1,2に比較し,R0の割合が増加した.浸潤性膵管癌に対するIPDA先行処理膵頭十二指腸切除術は出血量を軽減させ,過不足のないR0手術をおこなうために有用な方法である.

キーワード
膵癌, 膵頭十二指腸切除, 下膵十二指腸動脈, 流入動脈


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