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日外会誌. 111(3): 189-194, 2010
特別寄稿
「医療費と医療費配分」の見直しを―薬剤に係わる費用を中心に―
I.内容要旨
医療費抑制政策の争点は医療費総額であり,医療費の構成部門とその配分比率について検討されたことはない.H20年度の総医療費は34.1兆円,そのうち医科費は20.7兆円,60.7%であるが薬剤費は公表されない.そこで,厚生労働省が公表したデータを用いて薬剤費を算出すれば,9.3兆円,27.3%でありOECD諸国の平均17%に比較して多い.
H13∼20年までの医療費の増加率を倍率(20/13)を用いて検討すると,医療費の1.12倍に比較し薬剤費は1.19倍と大きく,医科は1.1倍と最も低い.東証一部上場の製薬会社(28社)は経常利益率20%を越える好業績であるが,医療機関の約半数は赤字であり,急性期のDPC制,慢性期の療養病床群など包括払い制が多く,医療機関での出来高制の技術料は低く,今後の経営改善は期待し難い.一方,薬剤費は高薬価政策,医療費の自然増など増加する要因は多い.今後の日本の医療費と薬剤比率のあり方について私見を述べる.
キーワード
医科医療費, 薬剤費, 薬剤比率
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