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日外会誌. 110(6): 326-332, 2009


特集

胸膜中皮腫の治療法の動向

3.病理診断と病期分類

大阪府立成人病センター 呼吸器外科

東山 聖彦 , 岡見 次郎 , 前田 純 , 徳永 俊照 , 藤原 綾子 , 神崎 隆 , 児玉 憲

I.内容要旨
胸膜中皮腫に対する病理·病期診断は,治療方針を決める上できわめて重要である.本疾患の診断のため最近は胸腔鏡生検が積極的に行われるが,標本は診断に十分な大きさと個数が必要で,できれば胸膜全層の採取が好ましい.確定診断は,永久標本によるHE診断以外に,中皮腫陽性マーカーと陰性マーカーをいくつか組み合わせた免疫組織染色により行われる.胸膜中皮腫の組織型は95%以上が通常型(上皮型,肉腫型,二相型)だが,最近は本邦からも特殊型の報告もみられる.病期分類は,現在,International Mesothelioma Interest Group(IMIG)分類(1995年)が汎用されているが,本分類は過去のEPPを行った症例を用いて胸膜中皮腫に特異な発育進展を解析し作成されたTNM病期分類である.現在,IMIG病期分類はCTやPET画像などによる臨床病期診断にも応用されているが,今後,外科切除(EPP)の適応や予後を正確に診断できる病期分類であるかを検証する必要がある.さらにEPP切除症例を対象に,縦隔鏡,対側胸腔鏡,腹腔鏡など拡大外科的病期診断も試みられており,精度の高い病期診断が臨床的に有用か評価されなくてはならない.

キーワード
胸膜中皮腫, 病理診断, IMIG病期分類


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