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日外会誌. 110(4): 203-206, 2009


特集

小児外科疾患術後患者の長期予後―成人期における諸問題―

7小児悪性固形腫瘍

筑波大学 臨床医学系小児外科

金子 道夫

I.内容要旨
小児悪性固形腫瘍の長期生存者が増加し,それに伴い長期障害に対する体制作りが急務である.根治性を追求してきた手術ではあるが,他の治療との組み合わせや,より障害の少ない術式の検討が行われている.乳児期神経芽腫では手術を含め治療のしすぎが明らかとなり,今後限局性神経芽腫の治療にも参考になる.放射線治療は後期障害から使用が控えられてきたが,手術と組み合わせ,適切な照射法を選定することで最良の局所治療が可能である.化学療法の進歩で治療成績の向上が得られた小児腫瘍であるが,その代償はきわめて大きい.各種臓器障害,2次癌などを考慮した最適な治療法の開発に向けた臨床試験が今後不可欠である.また,難治性固形腫瘍に現在造血幹細胞移植を併用した高用量化学療法が積極的に行われているが,それが本当に適切かどうか今後長期障害を見据えて評価する必要がある.いずれにせよ,我が国の長期フォロ―アップの体制と前方視的な検討は欧米に比べて著しく遅れており,フォローアップセンターの確立が必要である.また,多岐にわたる障害および社会的心理的問題に対しては,医師のみの連携では不十分で,医療者以外の専門職や難病を克服した患者さん自身を組み入れた体制作りが重要である.

キーワード
神経芽腫, 横紋筋肉腫, 抗癌化学療法, 不妊, 心理的ケア


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