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日外会誌. 109(3): 147-151, 2008


特集

消化器神経内分泌腫瘍の診断と治療

6.上部消化管における神経内分泌腫瘍の診断と治療

東京大学大学院 消化管外科学

清水 伸幸 , 上西 紀夫

I.内容要旨
上部消化管の神経内分泌腫瘍は胃十二指腸カルチノイドが主たるものであるが,内分泌細胞癌のようにきわめて悪性度の高い疾患も含まれる比較的まれな疾患群である.内視鏡検査時の生検で十分な組織がとれれば確定診断は可能であるが,粘膜下腫瘍様の発育形態をとるので術前診断は必ずしも容易ではない.悪性度の高い症例では,リンパ節転移や肝転移に加えて全身転移を来していることもあり,CT,MRIによる局所進行度の把握,所属リンパ節転移および肝転移の検索に加えて,FDG-PETによる全身検索が有用である.
治療は腫瘍の完全切除が原則であり,早期に発見されたものでは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による切除も考慮すべきである.外科的手術は癌に準じてリンパ節郭清を伴う切除が推奨されている.肝転移があっても一定条件を満たせば手術も考慮されている.遠隔転移を来して治癒切除が望めない症例には全身化学療法(cisplatin/carboplatinとetoposideによる併用化学療法)が推奨されており,またSomatostatin analogueなどによる臨床治験も進行している.悪性度の高い腫瘍の症例では,治癒切除例も含めて2-3カ月ごとの血液検査に加えてUS, CTまたはMRIでの経過観察が望ましい.

キーワード
カルチノイド, A型胃炎, 多発性内分泌腺腫症(Multiple Endocrine Neoplasia,MEN)1型, Zollinger-Ellison症候群, Somatostatin analogue


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