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日外会誌. 109(2): 71-76, 2008


特集

術前画像診断とNavigation Surgery

3.肝疾患―肝切除におけるイメージ ナビゲーションの有用性―

千葉県がんセンター 消化器外科

竜 崇正 , 趙 明浩

I.内容要旨
ボリュームデータから構築した3-Dイメージを駆使したSimulation Surgeryは安全な肝切除施行に非常に有用である.今まで頭の中で組み立てていた解剖を,コンピュータ上手術の手順に沿ってvirtual resectionしてみるものである.Simulation Surgeryの利点は腫瘍支配血管と流出血管を十分理解することができる点である.また手術に参加するチームがコンピュータ上で何回も,シミュレーションして,合意を得て行う真のチーム医療が推進できることも利点である.実際の手術をこのシミュレーション通りに行うことにより,実際の手術がより的確かつ安全に行えるようになる.この結果,実際の手術法を,anterior fissureなどを開いて,肝門部で流入血行をグリソン鞘一括で処理し,その阻血域のみ切除し,最後にドレナージ静脈を処理するという,きわめて単純な肝切除法に変化させることができた.その結果手術時間は半分になり,出血量も減少してほぼ全ての通常肝切除が無輸血で施行でき,また術後合併症もないことから患者の在院期間も半減したのである.肝臓外科は術中エコーの登場により飛躍的に進歩したが,コンピュータを駆使したSimulation Surgeryの応用により,さらに安全かつ低侵襲になったといえよう.

キーワード
肝切除, simulation surgery, Navigation surgery, Image-guided surgery, 3-Dイメージ


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