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日外会誌. 108(2): 64-68, 2007
特集
大動脈弁膜症における人工弁の選択―機械弁か生体弁か―
3.機械弁と生体弁の遠隔成績の比較
I.内容要旨
1975年4月から2004年10月まで九州大学病院心臓血管外科で施行された全年齢における単独大動脈弁置換術(AVR)472例を生体弁を用いたB群166例と,機械弁を用いたM群306例に分け遠隔成績を比較した(検討1).またこのうち50~65歳の初回AVR184例において,B群47例とM群137例を比較し,初回弁選択が遠隔期成績に及ぼす影響を比較検討した(検討2).検討1,2とも心臓死回避率,出血性合併症回避率,感染性心内膜炎回避率において両群間で有意差は認められなかったが,redo AVR回避率においてはM群が有意に良好であった.検討2では血栓塞栓症回避率はM群で有意に不良であった.結果として検討1,2共に再手術を含む有害事象回避率はB群で有意に不良であったが,再手術を除外した場合両群間で有意差はなかった.患者が将来の再手術を受け入れる場合,抗凝固療法なしで働き盛りの壮年期を過ごすことができるのであればQOLの面でも壮年期における生体弁選択のメリットがあるかもしれない.
キーワード
大動脈弁置換術, 生体弁, 機械弁, QOL, 抗凝固療法
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