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日外会誌. 107(5): 224-229, 2006


特集

これからの術後感染の対策治療を考える

6.術後感染治療薬PK/PDからみた抗菌薬治療の実際

1) 兵庫医科大学 感染制御部
2) 兵庫医科大学 第2外科

竹末 芳生1) , 中嶋 一彦1) , 和田 恭直1) , 一木 薫1) , 柳 秀憲2) , 池内 浩基2)

I.内容要旨
近年,動物実験や臨床研究により確認されている薬物動態/薬物力学(Pharmacokinetics/Pharmacodynamics)の理論に基づいた治療抗菌薬使用の重要性が強調されている.抗菌薬の作用は大きく分けて,時間依存性殺菌と用量依存性殺菌がある.時間依存性の殺菌作用を示すβ-ラクタム薬の重要なパラメータは最小発育阻止濃度(MIC)以上を維持する時間(Time above MIC)で,臨床的効果を発現するためにはセファロスポリン系薬は24時間の内の50―60%,カルバペネム系薬は30―40%を保つ必要があるとされている.そのためにはセファロスポリン系薬やカルバペネム系薬は1日3―4回分割投与が推奨されている.一方濃度依存性の殺菌作用を示すアミノ配糖体は時間の因子より抗菌薬濃度―時間曲線下面積(area under the curve,AUC)や最高血中濃度が殺菌効果と相関してくる.そのためこのタイプの抗菌薬は1日量の単回投与が勧められている.

キーワード
抗菌薬, PK/PD(薬物動態/薬物力学), 術後感染, モンテカルロシュミレーション, セフゾプラン


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