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日外会誌. 107(5): 230-234, 2006


特集

これからの術後感染の対策治療を考える

7.SSIサーベイランス

NTT東日本関東病院 

針原 康 , 小西 敏郎

I.内容要旨
SSIが一旦発生すると,入院期間が延長し,医療費が増大するとともに,患者の手術治療に対する満足度を著しく損なうことになる.良質の医療を提供する面からも,また病院経営の面からもSSI発生率を低下させることが求められる時代となっている.
SSIサーベイランスとはSSIの発生を常時監視することであるが,単なる調査ではなく,SSIを減少させるという積極的な感染対策である.本邦では米国NNISシステムを一部改変したJNISシステムによるSSIサーベイランスが厚生労働省の事業として行われ,これをサポートする形でSSIサーベイランス研究会が活動している.
JNISによる50施設31,436例の集計ではSSIの発生例は2,346例(7.7%)であった.手術手技別にみると消化器外科手術は他の手術と比較してSSI発生率が高いことが明らかとなっており,消化器外科手術におけるSSIを減少させることが重要な課題である.
SSIサーベイランスを実施すると見張り効果によりSSIが減少するが,それだけではなくサーベイランス結果に基づいて対策を立て,それを実施して,その効果を評価する活動を繰り返していくことが合わせて必要である.
感染対策は病院全体の安全管理の中でも特に重要な分野である.外科医には院内感染対策チームと協力して,SSIサーベイランスを行い,SSIを減少させる努力を続けることが求められている.

キーワード
SSI, SSIサーベイランス, 手術部位感染, JNIS, NNIS


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