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日外会誌. 107(5): 219-223, 2006


特集

これからの術後感染の対策治療を考える

5.術後感染治療薬Antibiotic heterogeneity

帝京大学 外科

福島 亮治

I.内容要旨
特定の抗菌薬の使用が多いとそれに対する耐性菌が蔓延し,その抗菌薬を一定期間使用しなくなると,やがて感受性が回復することは臨床現場で経験される.このようなことから複数のクラスの抗菌薬を広く使い分け,抗菌薬使用のかたよりをなくすことで,耐性菌出現を最小限に抑えようというAntibiotic heterogeneityの概念が生まれた.この概念を実践する具体的な方法として,抗菌薬のサイクリングあるいはミキシングがある.病院全体あるいはICUなどの特定ユニットにおいて,それぞれ異なった(系統の)抗菌薬を一定の期間を決めて順次使用していくのがサイクリング,同時期に複数の(系統の)抗菌薬をまんべんなく使用するのがミキシングと呼ばれている.これらは一般に,起炎菌が同定されていないグラム陰性菌感染を対象としたemperic therapyに対して適応され,特にICUで一定の効果が報告されてきた.また最近ではグラム陽性菌に対する効果も期待されている.しかし,具体的にどこでどのような場合に適応するのが効果的なのか,使用すべき抗菌薬の選択,サイクリングかミキシングか,サイクリングであればその適正な期間など,今後さらなる検討を要する部分も多い.

キーワード
antibiotic pressure, 耐性菌, サイクリング(cycling), ローテーション(rotation), ミキシング(mixing)

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