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日外会誌. 107(1): 33-37, 2006


特集

虚血性心疾患治療の新展開

7.虚血性心疾患に対する血管新生心筋再生療法

京都大学院 医学研究科心臓血管外科

金光 尚樹 , 米田 正始

I.内容要旨
重症虚血性心疾患に対する血管再生・心筋再生治療には現在,大別して,細胞増殖因子をタンパクあるいは遺伝子の形で投与する治療と細胞移植治療の2つの手段がある.組織再生を誘導する細胞増殖因子や細胞を探索し,有効性・安全性を動物実験で検証して治療法として確立するトランスレーショナルリサーチによって有望とされた治療法の一部の臨床応用が開始されている.
現在,とくに血管新生治療の基礎研究が進んでおり,従って臨床治験も虚血改善を主眼として行われている.骨髄単核球細胞移植,bFGF徐放投与,HGF遺伝子治療が代表的な進行中の血管新生治療である.一部の臨床治験の結果が報告されているが,まだ少数例であり評価は定まっていない.
一方,心筋再生には未だ決定打と言える治療手段が見つかっていない.骨格筋芽細胞移植,G-CSF投与,骨髄単核球細胞移植が臨床応用されているが,実際に心筋再生として機能改善に寄与しているかは明らかでない.心筋幹細胞・胚性幹細胞由来心筋細胞による再生治療の展開が有望視されており,基礎研究が進められている.

キーワード
血管新生, 心筋再生, 細胞増殖因子, 細胞移植, 組織工学

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