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日外会誌. 106(10): 649-653, 2005


特集

包活医療の導入による影響と対策

6.消化器外科領域における包括医療の影響と対策

慶應義塾大学医学部 外科学教室

久保田 哲朗

I.内容要旨
2003年4月より全国特定機能病院82施設において包括医療評価(Diagnostic Procedure Combination:DPC)が導入された.DPCは疾患の組み合わせ(combination)について入院期間につき請求額を1日いくらと定め,その上で施設ごとに係数を乗ずる方式である.DPC導入に対応して当院で行われたのは臨床・画像検査および癌化学療法の外来化であり,平均在院日数は15日程度となった.DPC対象病院においては4~5割の施設で臨床・画像検査の外来化が行われている.DPC対象病院における術前入院日数が減少した一方,術後在院日数は変化が認められておらず,当院で行われているような「術前検査を外来化し,入院後の早期に手術を行い,術後はDPC導入前と同様に入院している」傾向が全国的に行われるようになったことを示している.一方,癌化学療法を外来・センター化するために,当院では投与量・方法などの混乱を避けるためセットメニュー化しvariationを少なくした外来癌化学療法レジメンを開発した.現在用いられている消化器癌外来化学療法セットメニューは食道癌1,胃癌8,大腸癌9,肝・胆・膵10である.DPC導入という経済システムの変化が検査とがん化学療法の外来化を促進し,その狭間で効果を落とさない方法を工夫したのが現状である.今後これらの変化による治療成績への影響を確認する必要がある.

キーワード
包括医療評価, 外来, 消化器癌, 化学療法


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