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日外会誌. 106(6): 390-394, 2005
特集
肺癌の拡大手術と縮小手術―その評価と展望
6.肺癌鏡視下縮小手術の手技
I.内容要旨
肺の縮小手術は肺部分切除であり,手技的に解剖的肺区域切除と肺楔状切除の二つに分類される.大きな違いは,解剖学的肺区域切除では,区域肺門のリンパ節が郭清されるのに対し,楔状切除では所属区域気管支周囲のリンパ節が郭清されないことである.解剖学的肺区域切除を鏡視下で行う場合も,基本的には区域肺門部で肺動脈を結紮切断した後,区域気管支を剥離し,必要に応じて肺静脈を処理することに変わりはない.
術者は患者の右側,助手は左側に立ち,術者用モニターは患者の左頭側,助手用モニターは患者の左頭側に置く.スコープは中腋窩線第7肋間より挿入し,右肺の手術であれば聴診三角部,左肺の手術であれば第5肋間中腋窩線に4cmのミニ開胸を行い開胸器を使用せずウンドレトラクターを肋間に挿入する.
まず術側肺を完全に虚脱させて腫瘤の位置を確認し,超音波メスで区域肺門を剥離し区域肺動脈を切離して区域気管支を露出する.区域気管支は区域肺動脈と並走し,その周囲にはリンパ節が存在するのでこれを術中迅速病理診断に提出し,転移陽性であれば肺葉切除に切り替える.加圧法もしくは減圧法で切除する区域を確認した後endostaplerもしくは超音波メスで肺区域間を切離する.単独区域気管支は絹糸で集束結紮切離し,左上区,舌区,両側肺底区切除ではendostaplerを用いる.
HRCT,PET scanの普及に伴い,末梢小型肺癌はさらに増加し,鏡視下肺区域切除は呼吸器外科医の修得すべき手技のひとつになると考える.
キーワード
区域切除, 胸腔鏡下手術, 縮小手術
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