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日外会誌. 106(1): 31-37, 2005


特集

外科領域における輸血と血液製剤の現状と展望

7.人工血液

慶應義塾大学 外科

小林 紘一

I.内容要旨
赤血球輸血はK. Landsteinerによる血液型の発見によりその有効性と安全性が確立され,臨床医学は大きく進歩した.しかし,緊急輸血時の血液型判定の煩雑さ,長期保存ができない,輸血を介するウィルス感染やgraft versus host disease(GVHD)の副作用の問題などがある.これらに対処するために血液型を考慮せずに使用でき,しかも棚置きできる人工酸素運搬体が開発されつつある.また,血小板輸血はがん,造血器腫瘍などに対する抗腫瘍療法の際の血小板減少や,外科手術の際には病態によっては欠くことのできない治療法となる.しかし,血小板需要の増加と血小板の短い保存期間のために起こる供給の不足や,血小板輸血後のウィルス感染症の副作用などの問題がありこれに対処するために,人工血小板の開発も始まっている.

キーワード
人工血液, 人工酸素運搬体(人工赤血球), ヘモグロビン小胞体(Hemoglobinvesicles,HbV), アルブミンヘム, 人工血小板


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