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日外会誌. 105(7): 418-421, 2004


会員のための企画

緩和医療
-外科医が知っておくべき緩和ケアの知識-

東邦大学 医学部外科学講座 (大森) 一般消化器外科・緩和ケアチーム

戸倉 夏木

I.内容要旨
日本人の生き方,死生観の変化からがん終末期にホスピス,緩和ケア病棟を選択する患者が増えている.しかし,がん終末期患者の大半は一般病院で最期を迎えているのが現状である.新聞や雑誌,インターネットから緩和ケアの関心が高まり,一般医師への要望も多くなっている.日本では外科医が終末期医療まで関わることが多いので,手術手技,周術期管理に加え,緩和ケアの知識を修得しなければならない時代になったといえる.
がん終末期患者は疼痛をはじめ,食欲不振,倦怠感,不眠などさまざまな苦痛を伴うことが多く,約70%以上の患者がオピオイドによる鎮痛を要する疼痛を経験する.このため,がん終末期患者の緩和ケアでは疼痛治療が特に重要である.その方法としてWHO方式がん疼痛治療法があるが,緩和ケア病棟では当然のように行われる治療も,多くの外科医にとっては,学習しなければならない内容が多い.本稿ではWHO方式がん疼痛治療法の注意点,新たに加わったオピオイド製剤,オピオイドローテーション,鎮痛補助薬について言及した.これらを元に外科医はがん終末期患者がその人らしい生活を送れるよう全人的な医療を行う必要がある.

キーワード
がん終末期, モルヒネ, 緩和ケア, 疼痛コントロール


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