[書誌情報] [全文PDF] (1933KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 105(7): 404-407, 2004


特集

ガイドラインからみた肺癌外科の構築

4.リンパ節転移を伴う肺癌の治療ガイドライン

東京医科大学 外科

池田 徳彦 , 坪井 正博 , 大平 達夫 , 平野 隆 , 加藤 治文

I.内容要旨
縦隔リンパ節に転移を有する非小細胞肺癌は根治手術を施行したかに見えても予後不良であり,特に術前より転移陽性と診断された症例でその傾向は顕著である.このためcN2症例に対する手術単独治療は推奨されず,集学的治療が必要となる.その一環として術後補助療法と術前導入療法がある.術後補助療法としての放射線治療はメタアナリシスでⅢA期非小細胞肺癌には有効でないと評価された.一方,術後化学療法の有効性に関しては5%程度の生存延長効果を示した比較試験と無効の結果に終わったものとがあり一定の結論には達していない.術前導入化学療法は複数の比較試験で有効とする報告はあるものの,症例数が少ないなど,この結果に懐疑的な意見もあり,いまだ探索的治療の範躊である.導入化学放射線療法は局所制御に優れるが,治療合併症も相応に多く,その評価に関しては第3相試験の結果を待たねばならない.欧米では明らかなN2非小細胞肺癌に対する治療は化学放射線治療であり,これに手術を付加する意義を検証する比較試験が進行中である.

キーワード
非小細胞肺癌, リンパ節転移, 手術, 術後補助療法, 術前導入療法


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。