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日外会誌. 105(4): 275-280, 2004


特集

Oncogenic emergencyとその対応

4.食道癌

近畿大学 医学部外科

塩崎 均 , 重岡 宏典 , 今本 治彦 , 今野 元博

I.内容要旨
救急外来を受診する食道疾患には悪性腫瘍による食道穿孔(瘻孔),異物や潰瘍による食道穿孔,特発性食道破裂,食道出血などがある.食道穿孔の多くは食道癌に起因したものであり,気管気管支や縦隔を介して肺に穿孔するものなど多彩である.気管気管支への穿孔に対しては食道ステントや気管ステントが選択される.縦隔,肺に対する治療は化学放射線療法が根治性を望めることもあり,今後有望な治療法と考えている.異物による食道穿孔は全食道穿孔の2~4%程度と報告されている.異物の除去とともに,適切なドレナージが有効である.特発性食道破裂はさらに稀な疾患である.早期の破裂に対しては一期的に食道破裂部の閉鎖が行われるが,破裂24時間以降ではTチューブや大網被覆など状況に応じた対応が必要である.食道出血には食道,大動脈ステントで救命できた症例を経験したが,今後の大きな問題である.いかなる原因にしろ,一度食道穿孔や出血が発生すると,症状は重篤化し死に至ることも稀ではない.正確な診断とともに早急かつ適切な治療を行うことが大切である.

キーワード
食道穿孔, 食道出血, 食道異物, 特発性食道破裂, 食道ステント


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