[書誌情報] [全文PDF] (951KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 105(2): 213-217, 2004


特集

外科領域における栄養管理

5.Immunonutritionの意義

杏林大学 医療管理学

齋藤 英昭

I.内容要旨
生体の免疫機能や侵襲に対する免疫反応を増強・修飾する栄養管理法が,広くimmunonutritionと理解されるが,最近ではグルタミンやアルギニンなどのアミノ酸,ω-3脂肪酸,核酸などの特殊栄養成分を含有した栄養剤や製品を用いた栄養管理法に限定してimmunonutritionの言葉を用いる場合が多い. Immunonutritionの現時点での意義は,immunonutritionによってもたらされる侵襲後の規制のとれた炎症反応を通じて患者の経過や予後の改善にあると考えられる.しかしながら,免疫強化栄養食品immunonutritionはその栄養成分の組成や含有量,さらにそれらの栄養成分の原材料がそれぞれの製剤,製品で異なっている.このためにirnmunonutritionの臨床効果に言及する際には,強化されている特殊栄養成分の組成,含有量,その由来などを明確にしたうえで,どのようなタイプの製剤や製品に臨床効果があるのかを議論する必要がある.これまでの世界規模のImpactを中心とする治験から, immunonutritionが効果を発揮する適応病態は,定時の消化管手術や心臓手術,外傷や熱傷,軽症敗血症などである.病態が多彩な重症敗血症やcritical illnessではさら治験の積み重ねが必要である.

キーワード
Immunonutrition, 周術期栄養管理, 免疫強化栄養剤, アルギニン, ω-3 脂肪酸


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。