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日外会誌. 104(11): 762-764, 2003


特集

Sentinel node navigation surgeryの現状と展開

3.各種tracerの特性
d.蛍光ビーズ(fluorescent microsphere)

広島大学原爆放射線医科学研究所 腫瘍外科

檜原 淳 , 上野 秀晃 , 峠 哲哉

I.内容要旨
食道癌や肺癌におけるsentinel node(SN)同定を考える場合,色素のように縦隔リンパ節の炭粉沈着に妨げられず,かつRIのような特別な施設を必要としないtracerがあれば理想的である.そのようなtracerの候補として蛍光ビーズ(fluorescent microsphere)に着目し,その安全性と有用性を検討してきた.
蛍光ビーズは紫外線を照射することで黄緑色の蛍光を発する.蛍光ビーズのラットへの全身および局所投与ではとくに副作用を認めず,生体への投与は安全であると考えられる.ブタを用いたSN同定法の検討では,食道粘膜下層および食道外膜下に注入した蛍光ビーズが約20分後にリンパ管およびリンパ節に流入し,SNの同定が可能であった.
蛍光ビーズをtracerとするSN同定法は炭粉沈着のある縦隔リンパ節においても可能であり,広くどこの施設でも施行可能である.問題点としては,SNが縦隔外に存在する場合は本法での同定が不可能なこと,脂肪組織などの自己蛍光によりSNの識別が困難な場合があることなどであり,今後の検討課題である.

キーワード
sentinel node navigation surgery, 食道癌, 縦隔リンパ節, fluorescent microsphere, 蛍光ビーズ

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