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日外会誌. 104(10): 717-720, 2003


特集

原発巣からみた転移性肝癌に対する治療方針

6.胆道癌・膵癌

千葉大学大学院 医学研究院臓器制御外科学(第一外科)

宮崎 勝

I.内容要旨
膵癌,胆道癌の肝転移は治療に奏効することが殆どなく,診断時において予後が数カ月といわざるを得ないのが現状である.そのような極めて予後不良なステージにおいて治療成績を向上させる試みも殆ど成しえず,わずかな治療報告しかない.胆管癌肝転移は肝切除される例は極めて稀であるが肝切除後1年以上の生存の報告が僅かに見られるが我々の7例の切除例での平均生存期間は9カ月と不良であった.胆嚢癌肝転移においては時に3年以上の長期生存例の報告が見られる.我々の切除16例の平均生存期間は8カ月であり不良であるが5年以上の生存を1例認めている.膵癌肝転移は一般には切除がされることがないが積極的切除の試みとしてHowardら,およびTakadaらの報告があり各々10例,11例を肝切除をしておりその平均生存期間は11カ月,6カ月と不良であり肝切除の意義を認め得ない成績が示されている.これから胆道・膵癌肝転移に対して肝動脈制がん剤注入が成されることは多いが長期生存例はやはり極めて稀でありその有効性を示しうるデータはない.現状では胆道・膵癌肝転移に有効な治療手段は全くなく今後の新たな治療戦略の開発が必要である.

キーワード
胆管癌, 胆囊癌, 膵癌, 肝転移


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