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日外会誌. 104(10): 711-716, 2003


特集

原発巣からみた転移性肝癌に対する治療方針

5.胃癌を原発とした転移性肝癌に対する治療方針

1) 市立伊丹病院 外科
2) 大阪府立成人病センター 外科

平塚 正弘1) , 矢野 外喜治1) , 山本 正之1) , 岡崎 誠1) , 国府 育央1) , 三好 秀幸1) , 木村 文彦1) , 多根井 智紀1) , 梅本 健司1) , 宮代 勲2) , 佐々木 洋2) , 石川 治2)

I.内容要旨
大腸癌の肝転移に対する外科的治療の有用性は認められているが,胃癌の肝転移に関しては,意見が一致していない.肝転移を伴う胃癌の4割は腹膜転移を併存し,また6割が肝両葉にわたり転移巣を認めるために,根治度Bの切除は全体の1割に行なわれたに過ぎない.しかし,根治度Bの5年生存率は30%以上であり,胃癌の肝転移だからといって諦めずに積極的な治療をする価値があることを示唆する数字であった.肝切除の適応は,同時性と異時性をとわず,肝転移個数が1個で,腹膜転移および大動脈周囲リンパ節転移がなく,根治度Bの手術ができることである.なお,肝切除術式についての結論は出せないが,局所切除でもいいと考えられる.全身化学療法としては,S-1+CDDPが肝転移に対して50%の奏効率を示し,動注化学療法としては,FAM療法がCRの15%前後を含む奏効率70%以上で優れた治療法といえるが,動注の場合はカテーテルの血管外逸脱という合併症に注意が必要である.

キーワード
胃癌, 転移性肝癌, 肝切除, 手術適応, 動注がん化学療法


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