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日外会誌. 104(8): 544-548, 2003


特集

外科領域におけるステント療法

3.食道

1) 大阪市立大学大学院 医学研究科消化器外科
2) 大阪市立総合医療センター 消化器外科

大杉 治司1) , 李 栄柱1) , 竹村 雅至1) , 東野 正幸2)

I.内容要旨
現在,切除不能食道悪性狭窄に対する治療は,その簡便性・低侵襲性によりself-expandable metallic stent(以下,ステント)留置が第1選択となり,患者のQOLの改善に極めて有用であることは周知の事実となった.現在,本邦では拡張力にやや劣るが柔軟性に優れたUltraflex stent(Boston Scientific社)と拡張力は強いが柔軟性に乏しいCook-Z stent(Wilson-Cook社)の2種類が入手可能である.ステント留置は狭窄部位により配慮が必要である.頸部食道への留置は不快感が強い事を考慮する必要がある.気道隣接病変への留置は,気道狭窄を誘発する可能性があるため,気道ステント留置あるいは気道閉塞に対する緊急処置の準備が必要である.食道胃接合部を越えての留置は胃食道逆流症が必発であるため,逆流防止機能付きステントが有用である.しかし,本邦では未だ使用できる製品がなく,早急な開発・承認が期待される.ステント留置後の抗癌療法は有効との報告もあるが,一方では危険であるとの警鐘もあり,一定の見解が得られておらず,今後の検討が必要である.

キーワード
ステント, 食道狭窄, 気道狭窄, 放射線治療


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