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日外会誌. 104(6): 447-452, 2003


特集

膵囊胞性疾患の新展開-IPMTを中心に-

4.画像診断

手稲渓仁会病院 消化器病センター

真口 宏介 , 高橋 邦幸 , 潟沼 朗生 , 林 毅 , 吉田 暁正 , 桜井 康雄

I.内容要旨
嚢胞性膵腫瘍として,漿液性嚢胞腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic tumor:MCT), Intraductal papillary-mucinous tumor(IPMT)を取り上げ診断のポイントとなる所見について述べた.治療の観点からみた場合,漿液性嚢胞腫瘍は基本的に経過観察,MCTは手術適応,IPMTは手術適応と経過観察可能例が存在するため鑑別診断が極めて重要である.鑑別診断には,病巣の外観・輪郭,内部構造,膵管像,血流の評価から総合的に判定する必要がある.
漿液性嚢胞腫瘍の典型例は,球形を呈し,造影CTにより隔壁構成部が造影され小嚢胞とのコントラストにより蜂巣状を呈するため診断は容易である.最近,しばしば経験する大きな嚢胞が主体の病変(macrocystic variant)が鑑別に問題となるが, ERPにより膵管との交通がないことの証明,EUSにより内部のどこかに存在する小嚢胞の集簇を描出することがポイントとなる.
MCTとIPMTの鑑別点としては,MCTは球形で共通の比較的厚い被膜を持ち,内腔に凸に向かう嚢胞(cyst in cyst)の存在が特徴であるのに対し, IPMTは球形を呈してもどこかに外側に向かう腔が存在する.また,IPMTは基本的に大膵管系(主膵管から一次~二次分枝)に発生するためERPを施行することにより診断は容易である.
問題は,IPMTの中に組織学的に腺腫,腺癌のほか,浸潤癌,過形成例が存在することであり,診断により治療方針が大きく異なる.診断には,腫瘍増殖部の高さの測定が重要であり,EUSが最も優れる.しかしながら,腺腫と腺癌の区別は容易ではなく,現段階では「腺腫あるいは腺癌」と「過形成」の鑑別を行い,「腺腫あるいは腺癌」と判断した場合には手術適応,過形成と診断した場合には経過観察が妥当である.

キーワード
囊胞性膵腫瘍, 漿液性囊胞腫瘍, 粘液性囊胞腫瘍, Intraductal papillary-mucinous tumor(IPMT), 画像診断


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