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日外会誌. 104(4): 345-348, 2003


特集

科学性に基づく外科学の将来展望

3.地域医療支援システムとセンター病院の役割

大分医科大学 第1外科

北野 正剛

I.内容要旨
わが国における地域医療支援システムの現状と,地域医療支援におけるセンター病院の役割について,その将来展望を踏まえ概説した.
「地域医療支援」は,遠隔地での診療・手術の支援,画像診断,病理診断テレカンファレンスなどの「遠隔医療支援」と,ICカードや電子カルテによる医療情報を地域で共有することを主な目的とした「地域医療連携支援」に大別されると考えられる.
遠隔医療は多くの場合,大学病院間,または大学病院とその教育連携病院・診療所との間で行われ,診療・教育面で効果を発揮しているが,設備や運営・維持経費が一般には高額であり,実験的要素を含んでいるのが現状であろう.
一方,地域医療連携支援では,各施設に設置された地域医療連携センター,あるいは医療情報部などが中心となって,患者診療情報の伝達,共有を行っている.この分野におけるITの応用はめざましく,患者からも診療データを参照できる「地域共有型電子カルテシステム」がすでに稼動している地域もある.
これらの地域医療支援におけるセンター病院の役割は多大であり,継続的なシステムの運用を常に念頭に置いた支援システムの構築が最も重要と思われる. 今後,より広域での地域医療連携が予想されることから,課題として,全国規模での「1患者1ID」システムの推進や,より厳密なセキュリティー管理,遠隔診療支援での法的問題への配慮などが重要な事項と考えられる.

キーワード
地域医療支援, 遠隔医療, 医療連携, 電子カルテ, センター病院


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