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日外会誌. 103(12): 880-886, 2002


特集

術後感染症対策の最近の進歩と問題点

9.Endotoxin除去療法

千葉大学 医学部救急部・集中治療部

松田 兼一 , 平澤 博之 , 織田 成人 , 志賀 英敏 , 中西 加寿也 , 仲村 将高

I.内容要旨
我が国ではグラム陰性菌感染症のendotoxinに起因するseptic shockに対してポリミキシン固定化ファイバーを用いたendotoxin吸着療法(PMX-DHP)が広く用いられている,また最近ではseptic shockの病態生理上重要な意味を持つとされるanandamideがPMX-DHPによって除去されるとの報告を受けてPMX-DHPの適応が拡大されつつある.一方我々は,septic shockの病態の増悪においてはendotoxinだけではなく持続的な高mediator血症がより深く,より普遍的に関与していると考えており,それらの血中mediatorを除去する目的にて,PMX-DHPではなくPMMA膜hemofilterを用いた持続的血液濾過透析(PMMA-CHDF)を積極的に施行し治療を行っている.今回,septic shockに対する我が国におけるendotoxin除去療法を再検討した. Septic shockの治療においてはendotoxinのみならずanandamideやcytokineをはじめとする各種mediatorの除去が重要と思われた.またPMMA-CHDF施行中PMX-DHP併用の有無でendotoxin除去率やanandamide除去率さらには救命率にも差がなかったことより,PMMA-CHDFを施行する限りPMX-DHPを施行する必要はなく,PMX-DHPの適応は慎重にすべきと考えられた.

キーワード
sepsis, endotoxin, septic shock, PMX-DMP, PMMA-CHDF


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