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日外会誌. 103(4): 348-353, 2002


特集

食道癌診療の現況と展望

3.食道癌の治療
3)小開胸による胸部食道癌根治手術
-縮小開胸創開腹創(mini-thoracolaparotomy)手術について-

東京女子医科大学 消化器外科

井手 博子 , 成宮 孝祐 , 江口 礼紀 , 中村 努 , 小林 中 , 太田 正穂

I.内容要旨
教室では1996年以降食道癌手術の侵襲軽減を目的に縮小開胸創開腹創(mini-thoracolaparotomy)による根治手術を導入してきた.今回はその適応,手術手技につき紹介した.次いで,合併療法がおこなわれていない右開胸胸部食道全摘胃管再建例において従来型開胸開腹手術(conventional thoracolaparotomy)15例と縮小開胸創開腹創手術(mini-thoracolaparotomy)15例の無作為比較試験を行い,手術侵襲度,術後管理などにつき比較検討した.手術時間,出血量,胸部+腹部の郭清リンパ節個数などに両群間の差はなかったが,縮小創群ではICUにおける術後鎮痛剤使用量の有意の減少,人院期間の有意の短縮がみとめられ,さらに術後の肺活量の減少の軽減率と早期回復に有意な効果がみられた.最後に1996~2000年迄に施行された右開胸開腹食道亜全摘胃管再建例で従来型手術群(124例)と縮小創手術群(63例)の臨床成績を比較したところ術後肺合併症は縮小手術群に少なく,5年生存率は有意差はないが縮小型手術群67.6%,従来型手術群49.9%であった.

キーワード
食道癌, mini-thoracolaparotomy(縮小開胸創開腹創手術), 低侵襲手術, 術後肺機能


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