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日外会誌. 102(9): 647-652, 2001


特集

頸部食道再建術

6.遊離横行結腸による頸部食道再建術

1) 大分医科大学 第2外科
2) 大分医科大学 耳鼻咽喉科

野口 剛1) , 内田 雄三1) , 橋本 剛1) , 和田 伸介1) , 須小 毅2) , 鈴木 正志2)

I.内容要旨
頸部食道再建術とくに代用食道間置による再建術は皮弁・筋皮弁(有茎)と腸管グラフト(遊離)を用いるものとに大別できる.Seidenberg(1959)の報告以来,今日では遊離空腸グラフトを用いた再建術が主流を占めている.
頸部食道再建術の要点は,①グラフト採取が容易である,②グラフト採取後の機能脱落がない,③再建後の嚥下運動が良好であること,などがあげられる.③について具体的には,咽頭側,食道側ともに端端吻合が行われること,再建後グラフトはたるまず,屈曲せず真っ直ぐであること,嚥下運動時にグラフト壁の不必要な収縮運動が生じないことが理想的である.空腸グラフトは腸間膜が弧を描いており,グラフトの片側または両側が端側吻合にならざるを得ない場合があり,さらに再建後の嚥下時に不必要な収縮運動を生じることがある.これらのことを考えあわせると,横行結腸が最も理想的なグラフトとなりうる.
中結腸動静脈を栄養血管とする約10cmのグラフトを採取し,横行結腸を端端吻合する.中結腸動静脈を切離し,遊離グラフトとして順蠕動性に間置する.消化管再建を先行し,血行再建を後で行う.グラフトの食道側は器械吻合で,咽頭側は手縫い吻合で行う.グラフトがたるまないように長さを調節する.血管吻合はmicrosurgery techniqueで行い,相手動脈は顔面,頸横,舌動脈などを,静脈は同名静脈または外頸,内頸静脈を用いる.血管が屈曲しないように注意する.

キーワード
頸部食道再建術, 横行結腸, 遊離移植


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